前編では私の企業づとめ時代について書きました。私は、そこでの、多くの方々とのいろいろなご縁の中で、仕事のセンスというか、要は、法務の仕事も理屈だけではなく人間関係だということ、相手の心理などをしっかりとらえることがむしろ理屈よりも重要だということ、相手方にさえ「味方」になってもらえるような仕事の進め方が最上だということなど、口で言うのは簡単なことを身をもって経験させてもらいました。そのときどきの反省も含めて。
そして、ものごとを上手な解決に導くための現実的な作戦は必要だとしても、その根っこでは仲間にも相手にも「どこまでも誠実であること」。これが法務屋にとっても何より重要だということを深く深く知りました。
今は、そうしてつちかわれた実戦的な「法務屋としての精神」、それが本当の「リーガルマインド」だと思っています。それは、企業の形式的な枠をこえて、個人的なたくさんの法律がらみの案件を達成した中でももちろん活かされています。