「成果主義」は、「年功序列」が目的を忘れられて形式だけになっていることに気づかせてくれました。だからと言って、目先の仕事の結果だけにとらわれる、見せかけの「成果主義」でつっ走る会社は自滅します。また、「何か変だ、心配だ」と感じながら迷いをもってそれを運用していると、どっちつかずになって、時間の違いはあっても結局は自滅します。どちらも、大もとの自覚がない(足りない)からです。
大もとの自覚とは、「使用者には労働者の生活と人生をあずかっていることへの責任がある」ということへの自覚。これを土台にする。雇用契約=労働契約である以上、あくまで土台はこっちです。その上に、会社ごとに工夫して、仕事の結果への評価を上乗せする。それが本当の成果主義です。
幸いに、日本には、欧米と違って、これまでつくりあげた働き方の仕組みや賃金の決め方があります。その強みを分析して、必要なところを「成果主義」で補強していく。こうしためりはりが望まれます。
それは、自社の特長と強みを知ることでもあります。日ごろの経営の延長線上にあります。経営そのものと言ってもよいです。ですから、以上で述べたような本当の成果主義を社内で実現することは実は決して難しいことではありません。マニュアル的な単純作業ではないにしても、そして、作業のきっかけづくりや交通整理に多少の専門性がいるにしても。
「使用者には労働者の生活と人生をあずかっていることへの責任がある」ということを自覚しない。
それに配慮した仕組みづくりをしない。
それらは、経営をせずに存続する会社がないこととまったく同じです。