相続手続
誠実に、上質で、本当に必要な手続だけを
手続の全体像
相続手続は、大きく次の段階に分かれます。
- 相続人と相続財産の洗出し
- 遺産の分割
- 登記や銀行口座などの手続
このうち、②の遺産分割は、遺言書があればそれに従います。遺言書がなければ、相続人の間で話し合い、「遺産分割協議書」にまとめます。遺言書も遺産分割協議書もなければ、③の手続ができません。
なお、2024年4月からは、土地・建物の相続登記をしなければ法律で罰せられることになりました。
遺産分割協議書のポイント
遺言書もそうですが、遺産分割協議書も、ご本人や関係者の思いをしっかりくみとり、法律を正確に意識しながら、美しく整った洗練された言葉で表現することが求められます。これに反し、登記の事務処理のためだけに作ったものや、話し合いの結果を議事録的に書き連ねたものも見受けられます。しかし、それらは後々の争いの火種になり、親せきの仲を悪くする原因になりかねません。
思いにしっかりよりそう
たとえば、親と同居して面倒を見てきた子供Aは、「その分多めに財産がほしい」と思います。しかし、遠くで独立して生活していた子供Bからすると、「その分Aは生活費がかからなかったから得しているではないか」ということになります。また、子供Cは「親が住んでいたこの家に、もう誰も住まなくなる。早めに売ってしまおう」と思ったとします。これに対し、子供Dは「この家には親と自分たちの思い出がつまっているから、誰も住まなくてもそのままにしておこう」と思ったとします。
そのようなそれぞれの思いを、うまく交通整理しながら十分くまないままに、おとなしいBやDに発言の機会を与えずに、専門家が長男Aや声が大きいCの意見に押されて事務的に遺産分割を進めると、あとになってBやDの不満が爆発します。せっかく作った遺産分割協議書が守られなくなってしまいます。
遺産分割では、通り一遍の法律の知識と事務作業だけでなく、そういう関係者の思いにもしっかりとよりそわなければいけません。その際の交通整理には、経験と傾聴とバランス感覚が求められます。
手続そのものは効率的に
他方、上記①(洗出し)や上記③(登記・銀行口座など)の手続は事務作業にすぎません。ことさらに重々しくする必要はありません。この点で、見た目を飾り立てて、実際の手続に必要ない書類を作ったりファイルの体裁をととのえて料金に反映するケースが見受けられます。しかし、大事な方がお亡くなりになったばかりで、葬儀などを行い、その悲しみや疲れがいえない中で、慣れない相続手続に関する多くのことを一気に行っているご遺族の思いや現実のお立場に誠実に向き合った場合、こうしたケースは好ましいこととは言えません。
私たちの事務所では
私たち「すずかぜ」は、このような実感、強い思いから生まれた事務所です。遺産分割の話し合いと協議書の作成はきめ細かに。手続そのものは効率的に。どこまでも誠実に、上質で、本当に必要なものだけを。その信念で相続手続を行います。