前回は、「リーガルマインド」はただの「バランス感覚」ではなく、いくつかの要素が重なり合ったものだと書きました。そして、その要素のうの第1と第2について述べました。今回は、その続きです。
「リーガルマインド」の要素の第3は、私なりの言葉で表現すると、「法律の相対性理論」です。つまり、あるルールを適用しようとするときは、落としどころは極端なクロや極端なシロにはならず、その中間にあるという発想です。たとえば争っている2人を見たとき、どちらが正しい(善だ)、間違っている(悪だ)と決めつけない。8対2か、7対3か、あるいは5対5かといったことはあるにせよ、どちらにも正しさと間違いがあると考えることです。あるいは、「Aさんは○○する権利があるか」と質問されたとき、シンプルに「ある」・「ない」と答えるのではなく、「ある。ただし、○○の場合を除く」とか、「△△の場合はあるし、××の場合はない」と考えることです。この「相対性」を、もの事を考えるときの基本発想にします。
第4は、この「法律の相対性理論」を抽象的に頭で考えて使うのではなく、現実に起きていること(事実)を細かく観察して、そこから自然と導き出されるようにするということです。つまり、「法律の相対性理論」を基本発想にしながらも、決してそれを「外から当てはめる」のではなく、「内から自然と生まれる」ようにすることです。そうなるまで、とにかく細かく事実を観察(確認)していく必要があります。身の回り、現実の社会に起きていることの答えは、その起きていること(事実)の中にしかありません。「考えるな!感じろ!」という、往年のカンフーの大スターのブルース・リーの言葉を思い出します。