前回の結論は、「労働」が持つイメージは使用者への労働者の「支配従属」で、「請負」や「委任」は自分の責任と権限で仕事の結果を出す「自主独立」・・・。そんな感じになってしまいました。
ただ、企業づとめを、たとえば大きな組織で長くやっていると、社員の中でも、管理職や研究開発をしている人など、かなりの責任と権限を与えられて仕事をしている人がたくさんいることに気づきます。一方で、部品やサービスなどを提供してくれる取引先の方が、仕様書や日常業務のやり取りの中で、こと細かに縛られていて、大なり小なり発注者側の「指揮監督」や「従属」関係にあるのではと感じます。建前は別にして、実態はそんな感じです。
そのように現実を素直にとらえると、「労働」の特徴や、「請負」・「委任」との区別の基準は、「支配」・「従属」・「指揮命令」ではない。それはあくまで建前や理屈であって、現実の基準としては通用しない。場合によっては、「労働」へのイメージをゆがめてしまうことになりかねない。私は、長年の経験でそう感じます。
そうだとすれば、「労働」の特徴として残されているのは、「労働」そのものの上記のような基準ではなく、それが「賃金」と1セットになっていることにあると考えるしかありません。つまり、「賃金」が支払われるから、その働き方を「労働」と呼ぶわけです。
そこで、「賃金」こそが「労働とは何か」を考える際の重要なカギになります。つまり、「賃金とは何か?」への答えが、そのまま「労働とは何か?」への答えにつながります。