前回お伝えしたことから、どんな計算の仕方でいくら「賃金」を払うかを決める際は、①仕事をしてもらったことそのものへの対価と、②生活や人生をあずけてもらっていることへの対価という、「賃金」が持つ2つの意味合いのバランスをよく考える必要があります。
そのバランスは、会社ごとに違います。社員の年齢によっても違います。たとえば、生産ラインで毎日決まった個数の部品をとりつける仕事と、会社の将来のために新しい技術の開発をする仕事では、上記①の評価の仕方に違いがあります。また、学校を卒業して入社したての社員と、サラリーマン経験を積んで社会生活を自立して営んでいる社員とでは、会社の責任の持ち方、つまり上記②に違いがあります。どちらが重い軽いではなく。
計算の仕方について言えば、上記①の賃金の中には、ボーナスや特別手当のような形でその都度基本給に上乗せして払う方が良いものもあります。これに対し、上記②の賃金は、基本給の形で毎月安定して支払う必要が高いです。
現在、「成果主義」という言葉をよく耳にします。今までの日本の賃金の決め方は長く勤めたらその分賃金も高くなるというものだったがそれはおかしい。仕事でどれだけの結果(成果)を出したかに応じて決めるべきだという考え方に基づきます。アメリカの影響が強いと言われます。それと同時に、日本の景気が悪くなっていくばかりで、日本の多くの会社が世界で競争していくことへの自信を失いかけていることも関係していると思います。「先進国」の考え方を取り入れれば何とかなるかもしれない。そうしないと取り残されるかもしれない。そういう焦りや不安のようなものを感じます。