台湾は1つの国なのかということが議論されます。つい最近も、日本の高名な政治家の発言をきっかけに、この議論がまき起こりました。そこには、政治的な主義・立場や力関係が複雑に、あるいは露骨にからみ合っているようです。
ここではそうしたからみ合いからはなれて、「台湾」の問題をできるだけ客観視してみようと思います。
現在「台湾本島」と呼ばれる大きな島には、古くから先住民がいて、農業生活などをしていたそうです。そのときのこの島は、1つの「国」だったのか?
たとえば中国の明王朝は、この島に影響は与えていたが直接に統治はしていなかったと言われます。そのときのこの島は、明に支配されない1つの「国」だったのか?
明王朝が滅んで清王朝ができたとき、清に抵抗して明の回復を目指した鄭成功がこの島を活動の拠点にしました。このとき、この島は、1つの「国」になったのか?
結局、清が戦争によってこの島を制圧しました。このとき、力で制圧されたこの島は、1つの「国」ではなく清国の一部になったのか?
その後、この島を支配していた日本が戦争に負けて、この島は中国に「返還」されました。しかし、中国の中で国民党と共産党の争いが起きた結果、共産党が中国大陸を支配し、国民党がこの島に拠点を移しました。このとき、この島は、国民党が支配する1つの「国」になったのか?